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検査で「異常なし」と言われた人のために

検査で「異常なし」と言われた人は果たして本当に異常がないのだろうか。精神科ではそういう症状を心気的な訴えとして扱い、抗不安薬(マイナートランキライザー)を処方することが多い。実例を挙げて私見を述べてみたい。

例えば、胃がもたれて内視鏡検査(胃カメラ検査)をしたところ、異常が見つからないことがある。実は内視鏡検査でわかるのは、ガン、胃潰瘍、ポリープ(できもの)、胃炎くらいしかない。この4つが見つからなければ異常なしと判定されるのである。忘れてならないのは形態つまり形の異常が見つからなかったということなのである。胃の機能異常はわからないのである。本当は、顕微鏡レベルで胃の細胞が傷んでいるかもしれない、あるいは、胃から分泌される酵素の量が低下しているかもしれない。

しかし、それは内視鏡検査ではわからないのである。私は医者が患者によく言う「気持ちの問題ですから、気にする必要はないです」という一言も突き詰めれば、機能の障害に由来するケースも多々あるのではないかと思っている。もちろん現在の医学レベルでは解明できないものもあるに違いない。医学の世界は深淵なのである。それはさておき、果たして抗不安薬が胃のもたれに効くのだろうか。直接的には効くとは考えられないが、抗不安薬が精神的安定をもたらし、胃の細胞や酵素が元通りになって改善するということは十分考えられる。まわりくどい言い方になったが、要は精神科医の処方する抗不安薬が胃のもたれに効くこともあるのである。

220061219日発行


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