一般検査ってどんな検査?
昔、臨床検査は検査の材料(これを臨床検査科では検体と呼びます。)が大量に必要でした。だから尿検査が一般的でした。なぜなら尿は患者さんが痛い思いをせずに、しかも1回で十分な量が採取できたからです。
その後医療技術の進歩によって、いろいろな検査が登場し、尿検査が一般的とは単純に分類できないのですが、なぜか呼び名はそのまま残っています。
また、尿以外にも古典的な検査で、どうしても機械化することができなかった検査も一般検査で担当しています。
一般検査で扱う主な検体と実施する検査
- 尿
- 糞便
- 髄液
- 穿刺液
尿
項目 | 説明 |
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各種成分の定性・定量 | 尿中に含まれる物質のうち、尿中に溶解しているもの(蛋白・糖など)の分析をします。定性検査で最も使用されるのが試験紙ですが、1枚で1項目だけのものから、最高10項目の検査ができるものまであります。ただし、多項目の試験紙は目視判定(目で見て判定すること)が困難になるので、自動分析機で判定を行うのが主流になっています。 |
沈渣 | 尿中に含まれる物質のうち、有形成分(赤血球、白血球、細胞など)の分析をします。当院臨床検査科では自動分析機による方法と、尿を遠心し、沈渣(「ちんさ」と読みます。沈殿した成分)を顕微鏡で鑑別する従来の方法を組み合わせて行っています。 |
妊娠反応・ 尿中ホルモン検査 | 人間の体は様々な種類のホルモンの働きによって体の機能を調節していますが、女性の場合、月経、妊娠などによって、女性ホルモンの量が大幅に変化します。最近、妊娠反応の試験試薬などは薬局で市販されていますが、他にも尿中に出現する色々なホルモンを調べることによって、排卵の有る無し、妊娠の確認、流産、早産、死産の危険などの診断手がかりにします。 |
24時間尿の検査 | 尿は1日に何度も排泄されるものですから、その時の身体の状態や時間帯によって成分の濃度が大きく変動するため、「1日平均ではどれくらいの濃度か」「1日の排泄量としてはどれくらいか」を調べるために、1日の間、毎回出た量を大きな容器にためて検査をすることがあります。 このように検査のために尿をためることを「蓄尿」、その尿を使って行う検査を「**時間***定量」と呼びます。 |

写真は、尿沈渣中に含まれる硝子円柱です。尿中には様々な有形成分が存在します。
糞便
項目 | 説明 |
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潜血反応 | 便から肉眼では見分けられないような極微量な血液を見つける検査です。最近は、大腸癌の早期発見のために集団検診を行うことも多くなりました。 |
髄液
脳脊髄の周囲を囲むように保護している液を脳脊髄液といいます。(実習生に説明するときは、よく豆腐のパックの中の水に例えられます。)この液体の中の蛋白、糖、細胞などの異常な増加あるいは減少から中枢神経系(脳、脊髄)の循環障害、栄養障害、炎症などを探ります。
穿刺液
注射針を刺して注射器で吸引して採取することを穿刺、吸引といいますが、このようにして採取した体液を総称して穿刺液といいます。通常血液と髄液以外の体液を指し、胸水、腹水、関節液、心のう液などが主な検査材料です。