RRSと外傷勉強会を通して
令和8年3月執筆
臨床研修医として働き始めてから、まもなく一年が経とうとしています。この一年間、目の前の業務に追われながらも、日々の診療の中で「医師としてどのように患者と向き合うべきか」を考える機会が多くありました。特に印象に残っているのが、院内急変対応であるRRS(Rapid Response System)に関わった経験と、外傷診療の勉強会に参加した経験です。どちらも、まだ未熟な研修医としての自分に多くの気づきを与えてくれました。
RRS診療に関わって感じたこと
当院では、院内急変の早期対応を目的としてRRSが運用されています。研修医としてRRSの現場に関わるようになって感じたのは、「急変は突然起こるようでいて、実はその前から小さな変化が現れていることが多い」ということです。呼吸回数の増加や意識状態のわずかな変化など、普段の診療では見過ごしてしまいそうな変化が、後から振り返ると重要なサインであったと気づく場面がありました。
当院では、RRSが起動した際、研修医が最初に患者のもとへ向かい診察、評価をします。実際に活動してみると様々な迷いが生まれました。主治医へすぐに連絡すべきなのか、もう少し様子を見るべきなのか、判断に悩むことがあります。研修医の立場では特に、過剰な対応になってしまうのではないかという不安もありました。それでも、RRSの活動に関わる中で、「迷ったら相談する」「早めに声を上げることが患者安全につながる」という考え方の重要性を学びました。RRSは個人の判断力だけに頼るのではなく、チームで患者を守る仕組みであることを実感しています。
また、RRSの現場では多職種の連携の大切さを強く感じました。看護師がいち早く患者の変化に気づき、医師や他職種が集まって状況を共有し、対応を検討していきます。研修医としてその場に立つと、自分の知識や経験の不足を痛感することも多いですが、同時に、チームの中で学びながら医療に関わっていることを実感する場面でもあります。急変対応は決して一人で行うものではなく、多くの人の力によって支えられているのだと改めて感じました。
外傷勉強会で感じた外傷診療の難しさ
一方で、外傷診療の勉強会に参加した経験も、研修医としての視野を広げてくれました。外傷診療は、限られた時間の中で迅速に状況を判断し、優先順位をつけて対応することが求められる分野です。勉強会では外傷初期診療の基本的な考え方や評価の流れを学びましたが、講義を聞きながら、自分が実際の現場でどれだけ落ち着いて行動できるのだろうかと考えさせられました。診療の現場では、すべてを完璧に理解してから行動する時間はありません。だからこそ、基本的な原則を身につけ、チームの中で役割を果たすことが重要なのだと感じました。同時に、外傷診療には多くの診療科や職種が関わるため、チーム全体で共通の認識を持つことの大切さも学びました。
RRSと外傷診療に共通していたこと
RRSの経験と外傷勉強会の経験には共通する点があります。それは、「患者の変化に気づき、早く行動すること」と「チームで医療を行うこと」の重要性です。研修医として働き始めた当初は、自分一人でできることの少なさに戸惑うこともありました。しかし、医療は個人の力だけで成り立つものではなく、多くの人が協力し合うことで患者を支えているのだと少しずつ理解できるようになってきました。
研修医としてのこれから
もちろん、まだ自分の判断に自信を持てない場面も多く、迷いや葛藤は尽きません。それでも、日々の診療や学びの積み重ねの中で、少しずつできることが増えてきていると感じる瞬間もあります。RRSの現場での経験や外傷診療の学びを通して、患者の小さな変化に気づける医師でありたい、そしてチームの一員として信頼される存在になりたいと考えるようになりました。
一年間の研修を振り返ると、毎日が試行錯誤の連続でした。まだまだ未熟ではありますが、こうした経験の一つ一つが自分を成長させてくれているのだと思います。これからも「研修医、考え中」の状態ではありますが、日々の診療の中で学び続けながら、患者さんにとってより良い医療を提供できる医師を目指していきたいと思います。