上越での研修医生活 〜地域に育てられて〜
令和7年11月執筆
昨年の4月、新天地での生活に期待と不安を抱きつつ、県立中央病院での研修が始まりました。はじめは自宅から病院に行くまでわずか2キロ足らずの道に迷いナビを使う始末でしたが、今では先輩面をして後輩にお勧めのお店を教えています。
私は長岡市出身で、大学も新潟市だったので、転居する前は、上越市の知り合いがいませんでした。4月は友人ができるか、周りになじめるかとすごく不安に思ったことを憶えています。しかし、研修同期や温かい県中のスタッフに囲まれ過ごしていると次第に不安は消え、今では地元よりもたくさんの友人ができました。研修同期とは、毎月1回は食事会を開き、クールの終わりには近所のサイゼリヤで他愛もない会話を楽しむのが恒例行事になっています。上越市や妙高市出身の看護師にも多くの友人ができ、彼らに連れられて、上越のレジャーを沢山経験しました。春は高田公園の観桜会で宴会をしたり、夏は童心に帰って金谷山ボブスレーに行ったり、妙高サンシャインランドでヒーローショーを見たり、秋は酒の陣で一生分の日本酒を飲んだり、冬は滑れないのにスノーボードに連れていかれ1日で滑れるようになったり(!)、県立中央病院で研修しなければ一生経験しなかったであろうかけがえのない経験をたくさんさせてもらいました。
中でも最も印象に残ったのは、今年の6月1日に参加した高田城ロードレースです。私は生来運動が苦手で、友人に誘われ半ば無理やりエントリーさせられた時は絶対に完走できないだろうと思っていました。当日は、あいにくの大雨と強風で、朝7:30スタートだったこともあり最悪のコンディションでした。しかし、走り出すと不思議なことにどんどんと足が軽くなり頑張ろうという気力が湧いてきたのです。それはあいにくの天候にもかかわらず、沿道に立って応援してくださる大勢の市民の方々の声援と、給水所で元気に励ましてくれる小中学生をはじめとするボランティアの方々の応援のおかげでした。それでも途中何度もリタイアしようと足が止まりかけるのですが、その度に熱い応援をしてくれる方がいて何とか最後まで完走することができました。
高田城ロードレースに参加する前から日々の診療の場面で、上越の方々のやさしさに助けられることが沢山ありました。下手な採血で何度も刺し直させてもらったとき、冷や汗をだらだらかきながら不安げな表情で血管を探していると、「練習だと思って何回やってもいいよ」と言ってくれたり、一緒に血管を探してくれたり、痛い思いをするにもかかわらず、優しく励まし見守ってくれる方が本当に多くいました。県立中央病院のスタッフも優しく指導してくださる方ばかりで、多くの場面で助けられています。指導医はいつ質問しても、優しく丁寧に解説してくれ、積極的に手技の機会を与えようとしてくれます。ほかにも、物品の場所が分からなくて困っているとき、周りの方がすぐに気が付いて教えてくれたり、救急外来で人手が足りないとき、別の部署から嫌な顔一つせず手伝いに来てくれたり、いろいろな方々に本当にいつもお世話になっています。
こういった経験を得てこの1年間で上越地域とそこに住む方々のことが大好きになりました。私はまだまだ未熟者で一人では何もできませんが、いつか大きくなってお世話になった上越の方に恩返しをするために帰ってきたいと強く思っています。