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外科

医師

職名 氏名 卒業年
院 長 長谷川 正樹 昭和55年卒
部 長 青野 髙志 昭和62年卒
部 長 岡田 貴幸 昭和63年卒
部 長 鈴木 晋 平成5年卒
部 長 佐藤 友威 平成6年卒
部 長 金子 和弘 平成9年卒
部 長 丸山 智宏 平成17年卒
医 師 番場 悠太 平成31年卒
医 師 会沢 慧亮 令和2年卒
医 師 大森 愛 令和2年卒
医 師 田中 裕太郎 令和3年卒

(2023.4.1現在)

診療案内

診療の概要

 外科では消化管疾患(食道・胃・十二指腸・小腸・結腸・直腸・肛門)、肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓といった腹腔内臓器、乳腺などの疾患に対しての手術治療を行っています。
 スタッフは常勤医11名・非常勤医1名で、チームを組んで患者さんの治療にあたっています。
 扱う疾患の多くは悪性腫瘍であり 手術だけでなく 抗癌剤による治療や放射線治療を集学的に行い、患者さんの生活の質(QOL)を下げずに、よりよく暮らしていただくことをスタッフの目標にしています。
 腹腔鏡を用いた手術に関しては 胆石手術は腹腔鏡手術が第1選択です。大腸・直腸手術も多くが腹腔鏡手術を選択されるようになりました。胃手術に関しては適応を選んで行う方針としています。
 また、当院は救命救急センターを持つ地域の基幹病院であります。腹部外傷をはじめ腹膜炎・腸閉塞・急性虫垂炎などの腹部救急に対しては拘束番を設け24時間体制で迅速な対応をとっています。

診療情報等の提供について
当院の外科では受診された患者さんの診療情報を研究機関に登録させていただくことになりますので、趣旨をご理解のうえ、ご協力をお願いします。

登録に関する詳細はこちらをご確認ください。>>>

手術件数
過去5年間の手術件数です。
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
食道癌切除・再建 9 5 8 8 7(7)
胃癌手術(腹腔鏡) 89(51) 81(40) 67(35) 76(27) 68(26)
その他の胃手術 11 11 9 28 10(2)
結腸癌手術(腹腔鏡) 90(72) 75(67) 86(61) 92(63) 80(54)
直腸癌手術(腹腔鏡) 33(27) 45(35) 49(38) 37(15) 32(24)
その他の腸手術 79 97 107 100 62(3)
痔疾患 - - 1 1 -
虫垂切除(腹腔鏡) 28 35(9) 24(17) 32(25) 23(22)
肝切除 23 18 23 21 23
胆石手術(腹腔鏡) 32(15) 37(33) 51(31) 82(49) 73(66)
胆道悪性腫瘍手術 13 13 13 7 9
膵頭十二指腸切除 21 10 10 26 12
膵切除 10 1 11 8 15
脾摘術 2 2 1 3 3(1)
乳癌手術 101 100 114 81 87
頚部腫瘍・甲状腺 - - 0 0 0
ヘルニア手術(腹腔鏡) 68 87(9) 80(14) 129(15) 126(27)
その他 63 54 66 65
外傷 1 4 4 7


疾患別診療内容

食道癌
 

 食道癌に対しては、癌の進行度、患者さんの全身状態について精密検査した上、その病態にふさわしい治療方針を提示しています。

   早期で転移のない病変に対しては内視鏡的切除を第一選択にしています。

   進行癌で肺や肝臓に転移のないものに対しては手術的切除が基本方針となりますが、患者さんの年齢・合併症・全身状態を考慮し、放射線・化学療法を選択する場合があります。

   治療方針は検査結果を提示し、患者さん・ご家族の希望も含め相談したうえで決めています。

   手術は頚部、胸部、腹部に操作が及ぶ大きな手術となります。手術による体への負担を減らすため、胸腔鏡を用いた手術も行っております。術後は集中治療室(ICU)で管理し、患者さんの状態が安定してから外科病棟に移ってもらいます。


 

胃癌

  胃癌の治療は内視鏡的切除、手術治療、抗癌剤治療に大別されます。

  早期癌でリンパ節転移の可能性のないものには内視鏡での切除が第一選択です。

  それ以外の胃癌は原則手術適応となります。

  早期癌の手術に際しては、積極的に腹腔鏡下胃切除術を選んで行っています。

  進行癌に対しては切除可能な癌は遺残のない手術を目標にリンパ節廓清を行い、必要に応じて周囲臓器の合併切除を行っています。

  進行癌の場合、再発予防のための抗癌剤治療は患者さんの希望を聞きながら原則行うようにしています。

  治療方針の決定の際には常に患者さんの納得が得られるように心掛けています。

胃十二指腸良性疾患

近年、抗潰瘍剤の進歩にしたがって胃十二指腸潰瘍の手術は極めて稀となっています。

 手術適応は次のとおりです。

   内視鏡的治療にて止血できない出血性潰瘍

   潰瘍穿孔による腹膜炎

   十二指腸潰瘍による瘢痕狭窄で食事摂取不能

 上記①③に対しては胃切除術を行います。

 上記②に対しては保存的治療(絶食・鼻からのチューブ・抗潰瘍剤の点滴)を行い、手術を回避することもあります。

 手術を行うにあたっても十二指腸潰瘍の穿孔の場合は胃切除せず穿孔部位の穴を塞ぐ手術が第一選択で術後のQOLが保たれるような方針をとっています。  


乳癌

  乳がんは、日本では欧米に比べて低頻度ですが、死亡率は徐々に増加しております。特に本邦では40代後半から50代の他の癌に比べると比較的若い女性に罹患することが多いです。早期発見すれば完治する可能性が高く、そのためにはマンモグラフィ検診を受けることが重要です。その一次検診で要検査となった方の二次検診は、乳腺の専門医が行います。当院では予約制で乳腺外来を開設しており、二次検診や自覚症状のある方の診断を行っております。通常、視触診、マンモグラフィ、超音波(エコー)を行い、必要に応じて細胞診や針生検を行います。さらに詳しい検査が必要な場合はCT、MRI、シンチグラフィ、ステレオガイド下マンモトーム生検などを行います。

   診断治療においては、乳腺専門医の他、常勤の放射線診断医、放射線治療医、病理診断医、形成外科医、さらに看護師、薬剤師、検査技師、心理療法士などで医療チームを行っており、正確な診断、適切な治療、心理的サポートに努めております。

   乳がんの治療は手術、放射線療法、薬物療法(抗がん剤、ホルモン剤など)があり、人によってこれらを適宜組み合わせて治療するのが普通です。 最近ではインプラントを用いた乳房再建も保険適応になり、患者さんの状態や希望に応じて、形成外科医と連携して行なっております。

   過去10年の治療成績は、全体で94.6%、病期0で100%、Ⅰ 98.9%、ⅡA 95.2%、ⅡB 87.0%、ⅢA 72.0%、ⅢB 81.1%、ⅢC 83.3%、Ⅳ 22.2%(5年間生存率)でした。


大腸癌

 当院では、基本的に日本大腸癌研究会により作成された大腸癌治療ガイドラインに沿い、治療を行っております。

2017年に当院で大腸癌を切除した患者さんは、122人でした。その術式ですが、最近は開腹手術に比べて体への負担が少ない腹腔鏡手術が一般的となりつつあります。当院においても可能であれば腹腔鏡手術を選択し、122人中96人(74%)に腹腔鏡手術を施行しております。

大腸のうち、肛門に近い部位を直腸といい、それ以外を結腸といいます。直腸、肛門が主に排便機能を司り、また、直腸周囲には排尿および性機能に関する神経が走行するため特別な配慮が必要です。そのため結腸に比べ直腸の手術のほうが手術は難しくなります。直腸癌の手術には、自然肛門を温存する直腸低位前方切断術と肛門も切除し永久的人工肛門を造設する直腸切断術があります。自然肛門を温存する手術のほうが難しい手術になりますが、条件が合えば直腸低位前方切除術を選択しております。2019年の下部直腸癌の患者さんは13人でそのうち8人の患者さんに対し、直腸低位前方切除術を施行いたしました。また、直腸周囲の排尿および性機能に関する神経は基本的にすべて温存しております。直腸癌の腹腔鏡手術は技術的に難しいため結腸癌ほど一般的ではありませんが、条件にあった場合、腹腔鏡手術を行っております。2019年は45人中39人(87%)の患者さんに腹腔鏡手術を行いました。

抗癌剤についてですが、残念なことに抗癌剤のみで大腸癌が治る可能性はほとんどありません。しかし、癌の進行を遅らせたり、癌が縮小する可能性が高いため、積極的に抗がん剤治療を行っております。


肝胆膵疾患に対する外科治療について

肝胆膵疾患に関する診断や治療は近年進歩し、以前には出来なかった組織生検や非手術的治療が可能になったり、当初は切除手術が困難であった病状が術前治療の効果により、その後、手術が可能になったりすることも見られるようになりました。しかし、依然として、正確な診断や手術治療が必要かどうか?判断が難しい場合があります。そうした肝胆膵疾患の患者様に対する診断や治療に関して、当院では週1回、内科医や放射線科診断医と外科医が一緒に検討会を行い、詳細な診断や最善の治療に関して討論を行っております。

一方、肝胆膵領域の癌などの悪性腫瘍の手術治療には、難しい技術を要する場合もあり、日本肝胆膵外科学会では、2008年より高度技能医専門医制度が導入され、高難度肝胆膵外科手術をより安全に、かつ確実に行うことが出来る外科医が年々増加しております。当院では2名の高度技能指導医と1名の高度技能専門医が中心となり、高度技能医修練施設として、2008年から2021年までの14年間に544例の高難度外科手術を実施しております。そして、熱意や若さに溢れたこれからの肝胆膵疾患に関する外科診療を担う高度技能専門医を目指す医師も一緒に診療に携わっておりますので、安心して手術治療に向き合っていただけると思います。


①肝臓疾患について
 

外科的治療の対象となる疾患は、肝腫瘍がほとんどです。肝悪性腫瘍としては、肝細胞癌や胆管細胞癌などの原発性肝癌、他の臓器に生じた癌や肉腫が肝臓に転移した転移性肝腫瘍、一部の肝良性腫瘍が治療の対象となります。

肝細胞癌は肝炎ウイルスやアルコールなどによって生じた慢性肝炎や肝硬変などを患った肝臓に生じやすい癌です。抗ウイルス治療により、ウイルスに起因する肝細胞癌は最近減少傾向にありますが、非アルコール性脂肪性肝炎などに起因する肝細胞癌が増加傾向にあります。肝細胞癌に対する治療は外科的切除以外にも、ラジオ波などの器械を用いた局所焼灼治療や血管内カテーテルを使用した肝動脈塞栓療法や肝動脈化学療法、肝移植手術、抗がん剤治療、放射線治療など様々な方法があります。特に近年では他の癌種と同様に、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害剤や血管新生阻害剤が肝細胞癌に対して有効であることが明らかとなり、種々の薬物治療が行われるようになってきています。

   肝炎や肝硬変などによってどの程度、肝障害が進んでいるか?腫瘍の個数が何個あるか?腫瘍の大きさがどのくらいあるか?などを総合的に判断して、それぞれの患者様に適切な治療を選択してゆきます。肝切除手術は病変部を確実に完全に取り除くことが出来る点で、他の治療法より勝っていると考えられています。肝臓は再生力が旺盛な臓器であり、正常な肝臓であれば7割までの肝臓を切除しても、その後、肝臓は再生して元の機能に戻ることから、臓器機能が低下する心配は少なくて済みます。

   1999年から2021年までの23年間に、当科では肝細胞癌に対する肝切除治療を294回施行しており、2006年以降の切除例の術後5年生存率は59.5%でした。一方、胆管細胞癌は肝臓内の胆管から生じる癌で、肝細胞癌より発症する頻度は少ないですが、最近は増加傾向にあります。胆管細胞癌の治癒を期待するには切除治療が必要です。1999年から2021年までの23年間に胆管細胞癌切除治療を39例に行い、術後5年生存率は48.1%でした。また、2006年から2021年までの16年間に、上記以外の転移性肝腫瘍を111例、その他の肝腫瘍を15例切除しております。

交通事故などで腹部を強く打撲した影響で、肝臓に傷が付き、出血が止まらない場合など、手術治療を要することがあります。2006年から2017年までの12年間に4例の外傷性肝挫傷に対する手術を行っております。


②胆道疾患について
 

外科的治療の対象となる疾患の多くは胆道(胆嚢、胆管)の良性疾患で、胆石症、胆嚢炎、胆嚢ポリープ、胆嚢腺筋腫症などが手術的治療の対象となります。

良性胆嚢疾患に対しては、胆嚢を摘出する手術が必要となりますが、胆嚢摘出術は腹腔鏡下手術を第一選択として行い、手術の身体に及ぼす影響が出来るだけ少なくなるように努めております。2006年から2019年までの14年間に当科で胆嚢摘出術が599例に行われ、腹腔鏡下胆嚢摘出術が441例(73.6%)でした。

総胆管結石症では内科的な内視鏡的切石治療が第一選択となりますが、これが不可能な場合には手術的治療が必要となります。2006年から2019年までの13年間の総胆管結石症手術症例は43例でした。

胆管狭窄の為に胆管炎を繰り返したり、胆管悪性病変が否定出来ない場合には、病変部の摘出が必要となる場合があります。2006年から2021年までの16年間に当科で手術的治療を行った胆管狭窄例が10例ありました。

胆管癌や胆嚢癌、十二指腸乳頭部癌などの胆道系悪性腫瘍を治すには、病変部の完全な摘除が必要となります。胆嚢や総胆管の切除の他、腫瘍の拡がりに応じて、十二指腸、膵頭部ないし一部の肝臓の切除が必要となることが多く、身体には大きな負担のかかる手術となります。1999年から2021年までの22年間に当科で切除した胆道系悪性腫瘍は胆管癌145例、胆嚢癌100例、十二指腸乳頭部癌41例で、それぞれの疾患の術後5年生存率は胆管癌40.1%、胆嚢癌51.8%、十二指腸乳頭部癌53.8%でした。


③膵臓疾患について

膵臓癌(膵癌)は最も治りにくい癌と言われており、早期発見が難しく、発見された時には進行癌であることが少なくありません。根治には完全な切除が必要であり、膵臓周囲の血管に癌の拡がりがあっても、切除可能な病変は外科的な切除を目指しております。また、手術後には抗がん剤治療を追加することで、切除後の生存期間が延長することが明らかとなり、切除手術と抗がん剤治療を組み合わせた方法が標準治療となっております。更に、最近では、手術前に抗がん剤治療や放射線治療を行い、その後に切除治療を行うことで治療成績が向上すると期待されています。一方、癌以外の膵臓腫瘍に対しては、良悪性の程度を考慮して、可能な限り膵臓の機能が温存されるような手術的治療を心掛けております。

一方、膵炎では外科的治療が必要となることは少ないのですが、急性膵炎では局所の感染や出血などの合併症が生じた場合、慢性膵炎では内科的治療で制御出来ない痛みや胆管狭窄などの合併症を生じた場合、腫瘍の可能性が否定出来ない場合などに手術的治療が必要となる場合があります。また、腹部打撲によって、膵臓に傷が付いて手術が必要となる場合もあります。

2000年から2021年までの22年間に当科で切除した膵癌は190例で、術後5年生存率は31.5%でした。また、2006年から2021年までの16年間に当科で手術的治療を行った膵臓疾患は、その他の膵臓腫瘍54例、急性膵炎3例、慢性膵炎7例、外傷性膵損傷10例でした。

 膵癌は近年増加傾向にある癌の一つです。切除手術後に使用する抗がん剤治療は以前に使用していた薬剤より更に有効である薬剤が分かり、2012年末より、当院でも使用薬剤を変更しております。術前術後治療の効果や手術方法の工夫もあって、当科での切除可能膵癌に対する治療成績は、2012年9月以前の手術例の術後早期再発が26.8%に見られたのに対して、2012年10月以降の手術例では13.5%に減少し、早期再発がなかった症例の5年生存率は28.3%から47.9%に改善してきております。

   一方、膵周囲への血管周囲への拡がりにより、完全な切除が困難な可能性がある膵癌に対しては、近年、手術前に化学療法や放射線治療などの治療を行い、癌の進展を抑えた後に切除手術を行うことが有効であるとされています。

   当科で術前治療なしで切除した切除境界膵癌の4年生存率は18.2%でしたが、術前治療後に切除した切除境界膵癌では、22.2%でした。更に、診断当初は切除不能と判断された膵癌の中で、化学療法や放射線治療が奏功し、その後切除可能となることも経験されるようになっています。当初切除不能が治療後に切除可能となり切除した膵癌の5年生存率は50.0%でした。膵癌は治療が困難な癌ではありますが、これからも診断や治療の進歩により、手術後の成績向上が期待されます。


ヘルニア手術

 成人のヘルニア手術は手術当日入院で手術の翌々日に退院というクリニカルパスに基づいて行っています。


救急疾患

・急性炎症性疾患(虫垂炎、大腸憩室炎穿孔、潰瘍穿孔など)
・血行障害を伴う腸閉塞
・壊死性腸疾患(上腸間膜動脈血栓症 虚血性大腸炎など)
・外傷による腹腔内臓器損傷(肝破裂、脾破裂、腸管損傷、腹腔内出血など)
以上が主な緊急手術対象で、年間100件の手術を行っています。
救命を第一に迅速な治療方針の決定・実行を行っています。


診療実績
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